古いラジカセ(マイクロテープ)が出てきたので修理をしてみた。
レンコンです。
数年前に森崎のお母さんが亡くなったのだけれども、その遺品の中にマイクロカセットテープがたくさんありました。
それと同時に、30年前の古いマイクロラジオカセットレコーダー(National RN-Z-500 / FM/AM RADIO MICROCASSETTE RECORDER)も出てきました。
森崎のお母さんはこれでテープの録音再生をしていたらしいのだけれども、今は壊れて動かなくなってしまい、そのテープの内容を聞くことが出来ません。
現在の症状はまとめるとこんな感じ。
・電池からの液漏れなどはない。
・外観的にもサビはほとんど見えない。
・ラジオ(FM/AM)は聞くことが出来る。
・カセットの早送りと巻き戻しは出来る。
・ただし、再生するとリールが回らない。
この状態を見ていたら、なんだか昔のことを思い出してしまいました。
僕が中学生の頃、友達からビートルズの曲の入ったカセットテープをもらい、そのことをきっかけに音楽を聞くようになりました。
その当時うちには、昔ながらのガチャ!とボタンを押すタイプの「モノラルカセットテープレコーダー」しかありませんでした。
本当は立派なカセットデッキが欲しかったのですが、当時は高くて中学生の僕にはとても買えるものではありませんでした。
そこで、当時のオーディオ雑誌などを読み漁り、なんとかこのテープレコーダーでもいい音で聞くことは出来る方法はないかと、試行錯誤をしました。
改造のために分解組み立てを繰り返し、ついにはネジがバカになってしまった箇所がいくつもありました。
でもその甲斐あって、それなりにいい音で再生出来ていた記憶があります。
ある時、故障して再生ができなくなったことがあり、分解をしてみると、モーターからキャプスタンへ回転を伝えるベルトが滑ってテープを送ることができなくなっていました。
このゴムベルトは長年使っていると伸びて来て、滑りやすくなります。
更に、再生しながら早回しや巻き戻しをするとベルトに負荷がかかって、モーターの軸にカスが溜まり滑ってしまいます。
こういった症状の時は、ベルトのクリーニングや、モーターの取り付け位置の調整をすれば簡単になおすことが出来ます。
ここで簡単に仕組みを説明します。
※上の図の作成にあたり、こちらのサイトを参考にさせていただきました。
http://www.mzl.jp/
カセットテープレコーダーは一つのモーターを使って、テープを一定の速度で安定して送る部分(図⑥⑦)、テープのリールを回す部分(図③④)があります。
録音再生の時はピンチローラー⑦とキャプスタン⑥がテープを挟み込むように動いて、一定の速度でゆっくりとテープを送り、同時に軸④もテープをリールに巻き取ります。
早送りや巻き戻しはピンチローラー⑦とキャプスタン⑥は離れてフリー状態になり、軸③、あるいは④だけでテープを巻き取ります。
この時テープが緩まないように、反対側の軸③はブレーキが掛かり常にテープを逆に引っ張るように動きます。
そのためキャプスタンとピンチローラーの部分はかなり強い力が必要になります。
②のベルトが緩むとキャプスタン⑥が回らなくなるため、テープを送ることができなくなり再生が停止してしまいます。
ちなみにテープを送る速度はどうしても誤差が出てしまいます。
楽器の音を再生した時(特にピアノの音)波打って聞こえてしまう事があります。
その誤差のことを「ワウフラッター」といいます。
数値的に小さいほうがクリアでいい音になり、誤差0.03%前後以下であればかなり良い機械になります。
他にもSN比とか周波数特性とかメタルテープとか……
話が脱線してしまいましたが、この症状を見た時なんとかなりそうだと思い、分解修理をしてみることにしました。
まずは裏フタのネジを外します。
開けるとこんな感じ。
こんな電気配線、久しぶりに見ましたね。
コンデンサやコードがびっしり。
昭和の匂い満載です(笑
基盤のネジを外して
駆動部分が出てきました。
スピーカーのところが少し錆びているようです。
それ以外は問題なさそうです。
更に駆動部分ののプレートのネジを外します。
モーターにかかっているベルトが見えます。
案の条こんなに伸びていますね。
これではキャプスタンを回すことが出来ません。
とりあえずモーターを外して対策を考えます。
これだけ伸びていると清掃だけではどうにもならないので、モーターの取り付け位置を外側に動かして、ベルトがピンと張るように加工することにしました。
上のビスはそのままにして、下は少しずらしたところにドリルで穴を開けてネジで固定することにします。
でも、穴を開けたらタップ等でネジ山を切ってあげないと固定ができないのですが、あいにく僕は道具を持っていません。
もしかしたら、木ネジであればネジ山を切らなくてもなんとか固定できるかもしれません。
しかし、元のネジは特殊なネジのようだし……
と思いきや、よく見ると根本にパイプが巻いてあるだけの普通のネジでした。
ネジのストックを探したら、ちょうど良さそうな木ネジが一本だけ見つかりました。
さてネジが決まったので、今度はドリルでモーターに穴を開けます。
仮止めをしてみたらぴったりでした♪
さて本体にセットしてみます。
ベルトがピンと張っていて、いい感じですね。
ついでにベルトのクリーニングもしておきました。
元通りに組み立てて出来上がり。
無事に再生ができるようになりました。
ただし、何ヶ所かスイッチ類が接触不良を起こしているので、万全にするにはもう少し手をかけてあげないといけません。
30年前の古い機械のわりには、いまだちゃんと動いて音が出るというのは優秀だと思います。
昔の電気製品は丈夫でしたね。
外観もそれほど痛んでいないので、売りに出したらいい値段がついたりして(笑
レンコンでした。
今日のネコさん。
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